2012年05月23日

晩春(1949)

晩春(1949)
晩春 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/晩春_(映画)
日本・108分 監 督:小津安二郎 原 作:広津和郎 脚 本:野田高梧、小津安二郎
撮 影:厚田雄治 音 楽:伊藤宣二
出 演:原節子、笠智衆、杉村春子、月丘夢路、桂木洋子、坪内美子
★日本映画を代表する巨匠、小津安二郎の1949年製作の作品で、原節子が紀子を演じた、いわゆる「紀子三部作」の1作。二人暮らしをする父娘の、父と暮らし続けたいと思う娘の結婚と、残された父の心情を描いた作品で、テーマ的にも技巧的にも小津作品のスタイルが確立された重要作。小津独特のアングル、完璧な構図、風景やオブジェの静的な挿入など映画的な手法が(特に海外の)先鋭的な映像作家へ与えた影響と、題材となった家庭内の日常的ドラマ性が日本のTVドラマへ与えた影響の二軸で語られるべき作品か。印象的なのは父娘が並んで能を鑑賞するシーンと、京都の旅館で枕を並べて眠りにつくシーン。ともに娘の結婚に対する深層心理の変化を、能の舞、そして壺に象徴させて表現したそのセンス。ラストシーンで父が感情を露わにするその意外性も含めて映画史に残る傑作です。

by junn-chang, May.23, 2012
posted by junn-chang at 21:39| Comment(0) | 小津安二郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

ギター弾きの恋(1990)

ギター弾きの恋 – Sweet And Lowdown(1990)
ギター弾きの恋 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/ギター弾きの恋
米・95分 製 作:ジーン・ドゥーマニアン 監督・脚本:ウディ・アレン
撮 影:フェイ・チャオ 音 楽:ディック・ハイマン
出 演:ショーン・ペン、サマンサ・モートン、ユマ・サーマン、グレッチェン・モル、ウッディ・アレン
アンソニー・ラパーリア、ナット・ヘントフ、ジョン・ウォーターズ
★アメリカの映画監督ウディ・アレンの99年製作の作品。1930年代のシカゴを舞台に、ジャンゴ・ラインハルトを崇拝する天才ジャズ・ギタリストと、口のきけない女性との恋を描いた作品。傲慢で、浪費家で、自惚れ者である主人公エメットを演じたショーン・ペンの見事な演技を覆うようにして、アレン本人他、ナット・ヘントフ本人まで引っ張り出して、もっともらしいコメントでドキュメンタリー・タッチに仕上げたセンスはさすが。でも最大の注目は障害のある女性を演じたサマンサ・モートン! この愛おしい表情の素晴らしさがあるからこそ、ペンの演じる天才の愚かさがくっきりと浮きあがってきます。全編に流れるジャズ・ギターも魅力たっぷりな傑作。

by junn-chang, May.17, 2012
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2012年05月13日

あの胸にもういちど(1968)

あの胸にもういちど - The Girl On A Motorcycle(1968)
あの胸にもういちど HDニューマスター版 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/あの胸にもういちど
英・仏・91分 監 督:ジャック・カーディフ 原 作:アンドレ・ピエール・ド・マンディアル
脚 本:ジャック・カーディフ、ロナルド・ダンカン
撮 影:ジャック・カーディフ 音 楽:レス・リード
出 演:マリアンヌ・フェイスフル、アラン・ドロン、ロジャー・マットン、マリウス・ゴーリング
★英国の撮影の名手ジャック・カーディフが監督も手掛けた68年の作品。フランスの官能作家アンドレ・ピエール・ド・マンディアルの「オートバイ」をモチーフに、マリアンヌ・フェイスフルを主演として撮ったもので、人妻となった10代の女性が、忘れられない男のもとへオートバイで向かうわずか4時間ばかりの間の走行を、回想と妄想で引き伸ばし、ひたすらフェイスフルがオートバイに跨って泣き笑いするという作品。本編の多くを占める実際の走行シーンは代役だし、映像も合成ばかりでやや興覚め。相手の男性を演じるのがアラン・ドロンなわけですが、同年に彼が主演した名作「さらば友よ」や「太陽が知っている」といった作品に比べると、与えられた役と演技の質が低く、ドロンのフィルモグラフィの中でも評価は低そう。カーディフによるフェイスフルのための映画であり、それ以上でもそれ以下でもない作品か。

by junn-chang, May.13, 2012
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2012年05月08日

男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972)

男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972)
第10作 男はつらいよ 寅次郎夢枕 HDリマスター版 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/男はつらいよ_寅次郎夢枕
日本・98分 監 督:山田洋次 脚 本:山田洋次、朝間義隆 音 楽:山本直純
出 演:渥美清、倍賞千恵子、八千草薫、米倉斉加年、田中絹代、笠智衆、松村達雄、三崎千恵子
前田吟、太宰久雄、津坂匡章、佐藤蛾次郎
★「男はつらいよ」の第10作。前作同様、やくざ者にからまれるさくらを救う流れ者、という寅の夢で幕開けしますが、実はこのシーンこそが寅にとって愛の対象の本質を暗示(明示?)しているように思えます。また旧家の奥様を演じる田中絹代との印象的なシーンの挿入など、日本の地方の原風景を見事に撮った作品でもあります。そしてメインストーリーではマドンナ役に八千草薫を迎え、寅に逆プロポーズをするという稀有な展開をみせることで独特の余韻を残した作品。

by junn-chang, May.8, 2012
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2012年05月05日

きらきらひかる(1992)

きらきらひかる(1992)
きらきらひかる [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/きらきらひかる_(江國香織)
日本・103分 監督・脚本:松岡錠司 原 作:江國香織 撮 影:笠松則通 音 楽:茂野雅道
主題歌:PSY・S
出 演:薬師丸ひろ子、豊川悦司、筒井道隆、加賀まりこ、津川雅彦、川津祐介、岩本多代、大島智子
★江國香織の同名小説を映画化した松岡錠司監督作品。アルコール依存症の妻と同性愛志向の夫、そして夫の恋人の男性という3人の関係を描いた作品で、男性の同性愛を淡々と描いた視点と、松岡錠司の演出と映像センスが光る傑作。冒頭、いきなり薬師丸ひろ子の顔のアップで始まる瞬間に、松岡錠司は何を撮るべきかを熟知していることを知らしめ、豊川悦司の起用とその演技によって映画的なケミストリーを起こさせた映画的な映画。この題材を決してどろどろとしたものにさせなかった松岡錠司のセンスに感嘆。唯一映像的な超越をみせるシマウマのシーンは、交わらない2つの色を同居させながら生きる2人のメタファーか。それと個人的には我が母校がロケ地となり、あの当時のあの風景を思い出させてくれる点で忘れられない作品。

by junn-chang, Mar.5, 2012
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2012年05月04日

カサブランカ(1942)

カサブランカ – Casablanca(1942)
カサブランカ 特別版 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/カサブランカ(映画)
米・102分 製 作:ハル・B・ウォリス 監 督:マイケル・カーティス
脚 本:ハワード・コッチ、ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン
撮 影:アーサー・エディソン 音 楽:マックス・スタイナー
出 演:ハンフリー・ボガード、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ
コンラート・ファイト、ピーター・ローレ、シドニー・グリーンストリート、ドーリー・ウィルソン
★ハンガリー出身の映画監督マイケル・カーティスによるラブロマンス映画を纏った反ナチズム映画。米国が第二次世界大戦に参戦した1942年という特別な年に製作され、モロッコのカサブランカを舞台に、ナチ・ドイツに占領されたフランスの親ナチ・ヴィシー政権とナチを徹底的に非難した政治的プロパガンダ的な映画でありながら、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの不倫ロマンスと名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」によって名画としてポピュラリティを得た作品である、というのが本質。当時のハリウッド及びユダヤ系映画人にとって、映画とはすなわち民族の戦いだったと言うことを教えてくれる作品の1つ。

by junn-chang, May.4, 2012
posted by junn-chang at 20:56| Comment(0) | Critique(アメリカ映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月03日

危険がいっぱい(1964)

危険がいっぱい - Les Felins(1964)
危険がいっぱい ニューマスター版 [DVD]
http://fr.wikipedia.org/wiki/Les_F%C3%A9lins
仏・97分 製 作:ジャック・バール 監 督:ルネ・クレマン 原 作:デイ・キーン
脚 本:ルネ・クレマン、パスカル・ジャルダン、チャールズ・ウィリアムズ
撮 影:アンリ・ドカエ 音 楽:ラロ・シフリン
出 演:アラン・ドロン、ジェーン・フォンダ、ローラ・アルブライト、オリヴィエ・デスパ
★フランスの映画監督ルネ・クレマンによる64年製作の作品。「太陽がいっぱい」、「生きる歓び」に続きアラン・ドロンを主演にクレマンが撮り続けた作品の1作で、「太陽がいっぱい」にあやかった邦題がつけられているものの、原題は「猫」。二組の男女が騙し合いの果てに、女性に飼われる猫のようになってしまう男性を描いた作品ながら、どうみても女性の方が猫的にしか思えないのはジェーン・フォンダとローラ・アルブライトの演技(フォンダは素のまま?)ゆえ、か。当時ヌーヴェルヴァーグ勢に唯一対抗し得たクレマンらしいサスペンス・ドラマ。

by junn-chang, May.3, 2012
posted by junn-chang at 23:04| Comment(0) | アラン・ドロン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月02日

めぐりあう時間たち(2002)

めぐりあう時間たち – The Hours(2002)
めぐりあう時間たち [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/めぐりあう時間たち
米・英・115分 製 作:スコット・ルーディン 監 督:スティーヴン・ダルドリー
原 作:マイケル・カニンガム 脚 本:ディヴィッド・ヘア 撮 影:シェイマス・マクガーヴェイ
音 楽:フィリップ・グラス
出 演:ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ、エド・ハリス
スティーヴン・ディレイン、ジョン・C・ライリー、クレア・デインズ
★英国の映画監督スティーヴン・ダルドリーがマイケル・カニンガムの原作を映画化した2002年製作の作品。ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープが1923年の英国リッチモンド、1951年の米国ロサンゼルス、2001年の米国ニューヨークに生きるそれぞれの女性の生き方をキッドマン演じるヴァージニア・ウルフの書く小説「ダロウェイ夫人」を軸に描いた作品で、3つの時代のシーンの切替が絶妙なカメラワークと映像センスで自然に交差し、伏線として置かれたいくつかのキーワードが次第に浮かび上がってくる展開と構成は見事。数ある女性性を描いた映画の中でも最上の部類に入る傑作! それにしても、(あり得ないけど)事前情報なくして観れば、ウルフを演じているのがキッドマンであることに全く気付かないです、これは。そして全編を霧の如く覆うフィリップ・グラスの音楽が秀逸。

by junn-chang, May.2, 2012
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2012年05月01日

笑う警官(2009)

笑う警官(2009)
笑う警官 [DVD]
http://ja.wikipedia.org/wiki/笑う警官
日本・122分 監 督:角川春樹 原 作:佐々木譲 脚 本:角川春樹、橋本匡弘
撮 影:仙元誠三 音 楽:大島ミチル 主題歌:ホイットニー・ヒューストン
出 演:大森南朋、松雪泰子、宮迫博之、忍成修吾、蛍雪次朗、大友康平、野村祐人、伊藤明賢
大和田伸也、鹿賀丈史、矢島健一、乙黒えり、松山ケンイチ
★佐々木譲原作の、海道警裏金事件を題材としマルティン・ベックへのオマージュに溢れた警察小説を角川春樹が映画化、自ら監督を務めた作品。松雪泰子の顔立ちだけを観てて終わってしまう、そんな作品で、まったく映画的ではない映画。原作を超えられず、映画史をあらゆる意味で塗り替えられなかったのは、やはり角川春樹の才能は監督業では活きないことの証明か。TVの2時間ドラマ並みの展開と映像センス、そして凡庸なラストシーンには絶句するばかり。そしてエンディングに流れるホイットニー・ヒューストンとのギャップを感じるとき、ああ、これは映画ではないんだ、と納得するしかありません。

by junn-chang, Mar.1, 2012
posted by junn-chang at 18:10| Comment(0) | Critique(日本映画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月29日

暗黒街のふたり(1973)

暗黒街のふたり - Deux Hommes Dans La Ville(1973)
暗黒街のふたり ニューマスター版 [DVD]
http://en.wikipedia.org/wiki/Deux_hommes_dans_la_ville
仏・伊・99分 製 作:ピエール・サン・ブランカ 監督・脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮 影:ジャン=ジャック・タルベ 音 楽:フィリップ・サルド
出 演:アラン・ドロン、ジャン・ギャバン、ミムジー・ファーマー、ミシェル・ブーケ
イラリア・オッキーニ、ベルナール・ジロドー、ジェラール・ドパルデュー、ヴィクトル・ラヌー
★フランスの映画監督ジョゼ・ジョヴァンニによる73年製作、アラン・ドロンとジャン・ギャバンというフランスを代表する2人の共演としてはアンリ・ヴェルヌイユ監督による2作「地下室のメロディー」、「シシリアン」に続いて3作目。更生しようとする前科者が、彼を敵視する警察の執拗な嫌疑によってやがて殺人犯となり死刑宣告受けるという物語を、前科者ドロン、保護司ギャバンで描いた作品で、運命に翻弄されるドロンがラストシーンで斬首されるまでを社会的メッセージを込めて撮った秀作。ジョヴァンニの作風に映画的なセンスを求めても仕方ないのですが、この批評性は賞賛されるべき。ラストシーンの衝撃的な余韻がいつまでも印象的な作品です。若き日のジェラール・ドパルデューの出演も見どころ。但し邦題の「暗黒街」は誤訳すぎて本作の本質を見失ってしまうのが残念です。

by junn-chang, Apr.29, 2012
posted by junn-chang at 23:39| Comment(0) | アラン・ドロン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする