2018年02月19日

髪結いの亭主(パトリス・ルコント)

髪結いの亭主(パトリス・ルコント)
Le Mari de la coiffeuse
Le Mari de la coiffeuse [DVD] [Import]Le Mari de la coiffeuse [DVD] [Import]
Eduardo Serra


売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1990年, France, 82min
監 督:Patrice Leconte
脚 本:Patrice Leconte, Claude Klotz
撮 影:Eduardo Serra
音 楽:Michael Nyman
出 演:Jean Rochefort, Anna Galiena, Roland Bertin, MauriceChevit

★パトリス・ルコント監督、ジャン・ロシュフォール、アンナ・ガリエナ主演のドラマ。12歳のときに出合った理想の女性(理容師)と結婚することを夢見た少年アントワーヌが、やがて中年になり夢が叶い美しき理容師マチルドの亭主となる、そして幸福な10年が過ぎ、マチルドは満たされた愛の中で1つの選択をする。ルコントの名を知らしめたせつなくもユーモアに溢れたラヴ・ストーリー。カセット・テープから流れるアラブ歌謡の数々とマイケル・ナイマンの知性的な音楽の対比が素晴らしい。美しき理容師と結婚するという夢を叶えた夫アントワーヌは、まるで不安を覆い隠すかのようにアラブ歌謡で踊り(このダンスが爆笑!)、深い愛を失うことを恐れた妻マチルドはその不安から逃れるために、雷雨の中、濁流に身を投げる。男性が満たされるものと、女性が満たされるものの対比、アントワーヌの父が少年だった彼に諭した「強く念じれば、必ず願いは叶う」という確信的な言葉と、そして父もアントワーヌも説き続けるクロスワードの難解性への執着が、重層的にこの映画を作り上げています。この映画を観る者が、男性なのか女性なのかで見える景色が相当異なるであろう作品。

by junn-chang, Feb.19. 2018
posted by junn-chang at 00:31| Comment(0) | パトリス・ルコント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月18日

仕立て屋の恋(パトリス・ルコント)

仕立て屋の恋(パトリス・ルコント)
Monsieur Hire
Monsieur Hire / [DVD] [Import]Monsieur Hire / [DVD] [Import]
Denis Lenoir

Kino Video 2007
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1989年, France, 80min
監 督:Patrice Leconte
脚 本:Patrice Leconte
撮 影:Denis Lenoir
音 楽:Michael Nyman
出 演:Michel Blanc, Sandrine Bonnaire, Luc Thuillier, Andre Wilms

★パトリス・ルコント監督、ミシェル・ブラン、サンドリーヌ・ボネール主演のサスペンス・ドラマ。周囲の人々から嫌われている仕立て屋の孤独な中年男イール(ミシェル・ブラン)が、向かいに住む美しい女性アリス(サンドリーヌ・ボネール)の生活を盗み見することから殺人事件に巻き込まれてゆく、パトリス・ルコント流の恋愛サスペンス。愛した女性が突然自分を裏切る(または姿を消す)というルコント映画に共通する主題の原点を感じさせる作品。恋人の殺人を目撃されたか否かを確認するために仕立て屋の男に近づき、やがて恋をし、そして裏切るという、男性には理解できない女性性と、窓越しに盗み見ることによって愛を感じ、殺人への関与を黙認、最後には裏切られて死に追いやられながらも、恨んでいない、せつないだけだ、という男の心理の対比を、一瞬の間だけ交わらせることで一層浮き彫りにする手法が見事。仕立て屋が飼うネズミが一匹死ぬ、そして逃亡の前に籠から解放される、それが男の心象のメタファーであるセンス。マイケル・ナイマンの音楽が、美しい。

by junn-chang, Feb.18, 2018
posted by junn-chang at 09:27| Comment(0) | パトリス・ルコント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

近松物語(溝口健二)

近松物語(溝口健二)
近松物語 [DVD]近松物語 [DVD]

角川エンタテインメント 2007-09-28
売り上げランキング : 86223

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1954年, Japan/大映, 102min
監 督:溝口健二
脚 本:依田義賢
撮 影:宮川一夫
音 楽:早坂文雄
出 演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、浪花千栄子、進藤英太郎、小沢栄太郎、菅井一郎、田中春男

★溝口健二監督、長谷川一夫、香川京子主演の時代劇。近松門左衛門原作の人形浄瑠璃をベースとした川口松太郎の戯曲「おさん茂兵衛」の映画化。江戸時代という封建社会のおける不義密通を主題とすることで、生きることと性の不条理を、禁欲的な構図で描いた愛欲の映画。表情と余韻、それを収めきる宮川一夫のカメラ、そのワンシーン毎の美しさと残酷さ。本作を観れば、過剰な台詞と演出と説明で装飾されなければ成立しない夥しい(それでも映画と呼ばれる)作品が巷に溢れかえっていることに気づかされる、映画的映画の最高峰。

by junn-chang, Feb.17, 2018
ラベル:溝口健二
posted by junn-chang at 00:06| Comment(0) | 溝口健二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月16日

祇園囃子(溝口健二)

祇園囃子(溝口健二)
祇園囃子 [DVD]祇園囃子 [DVD]

コスモコンテンツ 2011-02-26
売り上げランキング : 71791

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1953年, Japan/大映, 85min
監 督:溝口健二
脚 本:依田義賢
撮 影:宮川一夫
出 演:木暮実千代、若尾文子、浪花千栄子、進藤英太郎、河津清三郎、菅井一郎、田中春男、小柴幹治、毛利菊枝

★溝口健二監督、木暮実千代、若尾文子主演のドラマ。川口松太郎原作作品の映画化。祇園の芸妓美代春(木暮実千代)と新人舞妓栄子(若尾文子)の意志と苦悩を描くことで、芸者世界のしきたりと女としての生き方を問うた、女性性の巨匠溝口健二の傑作。溝口監督特有の精緻な構造と宮川一夫のカメラの映画的美しさの中で、二人とお茶屋をしきるお君(浪花千栄子)を含めた三世代の考え方を対比させることで、現代にまで連綿とある水商売の本質的な問いを投げかけた作品。

by junn-chang, Feb.16, 2018
ラベル:溝口健二
posted by junn-chang at 00:04| Comment(0) | 溝口健二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月15日

雨月物語(溝口健二)

雨月物語(溝口健二)
雨月物語 [DVD]雨月物語 [DVD]

コスモコンテンツ 2011-02-26
売り上げランキング : 19849

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1953年, Japan/大映, 96min
監 督:溝口健二
脚 本:川口松太郎、依田義賢
撮 影:宮川一夫
出 演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄、香川良介、羅門光三郎、毛利菊枝、上田吉二郎

★溝口健二監督、京マチ子、水戸光子主演の時代劇。上田秋成の「雨月物語」の二編、「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の映画化。戦国時代の近江の国を舞台に、家庭をもつ二人の貧農の男が、片や焼き物師として、片や侍として、金や名声を手に入れる代わりに妻を代償とし、その妻は不条理な人生を歩むさまを描いた作品。宮川一夫のカメラがリアリズムと幻想性を両立させ、溝口的映像センス、つまりは映画的に構築された傑作。京マチ子の幻想性が白眉。

by junn-chang, Feb.15, 2018
ラベル:溝口健二
posted by junn-chang at 09:23| Comment(0) | 溝口健二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

西鶴一代女(溝口健二)

西鶴一代女(溝口健二)
西鶴一代女 [DVD]西鶴一代女 [DVD]

コスモコンテンツ 2011-02-14
売り上げランキング : 60164

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1952年, Japan/児井プロダクション/新東宝, 148min
監 督:溝口健二
脚 本:依田義賢
撮 影:平野好美
音 楽:斎藤一郎
出 演:田中絹代、山根寿子、三船敏郎、菅井一郎、進藤英太郎、宇野重吉、加東大介、沢村貞子、松浦築枝、毛利菊枝

★溝口健二監督、田中絹代、山根寿子主演の時代劇。井原西鶴原作「好色一代女」を溝口健二的に、つまりは映画的に撮りきった一大傑作。女として悲劇的な流転を繰り返すお春を田中絹代が演じ、溝口健二がワンシーン・ワンカットに収めてゆく映画的な作業が産み落とした、ヌーヴェルヴァーグのルーツの一つ。映画の序盤、お春流転の起点となった男を三船敏郎が演じるものの、早々に斬首されてしまうことが、この映画はあくまで田中絹代の映画なのだと暗示しているかのように思わせる、孤高の作品。

by junn-chang, Feb.14, 2017
ラベル:溝口健二
posted by junn-chang at 01:17| Comment(0) | 溝口健二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月13日

武蔵野夫人(溝口健二)

武蔵野夫人(溝口健二)
武蔵野夫人 [DVD]武蔵野夫人 [DVD]
大岡昇平

東宝 2006-09-22
売り上げランキング : 103617

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1951年, Japan/東宝, 92min
監 督:溝口健二
脚 本:依田義賢
撮 影:玉井正夫
音 楽:早坂文雄
出 演:田中絹代、森雅之、山村聰、轟夕紀子、中村美那子、片山明彦、進藤英太郎、平井岐代子、西田智、塩沢登代路、千石規子

★溝口健二監督、田中絹代、森雅之主演のドラマ。大岡昇平原作「武蔵野夫人」の映画化で、戦後の武蔵野を舞台に、秋山忠雄(森雅之)と道子(田中絹代)夫妻の元に道子の従弟勉が復員したことから始まる重層的な恋愛模様を描くことで、階級という名の日本の地層がずれてゆく様を描いた作品。溝口健二的な印象的な構図と演出が印象的な一作で、湖畔で台風に遭い一夜を過ごす道子と勉、そして二人が結ばれないまま別れるメロドラマを表層に置きながら、道子が守り続けようしている「道徳を超えたもの」とは何か、を問い続けながら、その答えは武蔵野から見下ろす戦後の東京の風景に任せてしまうラストシーンの余韻がせつない作品。

by junn-chang, Feb.13, 2018
ラベル:溝口健二
posted by junn-chang at 19:10| Comment(0) | 溝口健二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月12日

ビルマの竪琴(総集編)(市川崑)

ビルマの竪琴(総集編)(市川崑)
日活100周年邦画クラシック GREAT20 ビルマの竪琴 HDリマスター版 [DVD]日活100周年邦画クラシック GREAT20 ビルマの竪琴 HDリマスター版 [DVD]

Happinet(SB)(D) 2011-10-04
売り上げランキング : 19968

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1956年, Japan/日活, 116min
監 督:市川崑
脚 本:和田夏十
撮 影:横山実
音 楽:伊福部昭
出 演:三國連太郎、安井昌二、浜村純、内藤武敏、西村晃、春日俊二、三橋達也、深江章喜、佐野浅夫、北林谷栄、伊藤雄之助

★市川崑監督、三國連太郎、安井昌二主演の戦争ドラマ。竹山道雄原作児童小説の映画化で、大東亜戦争末期のビルマ戦線を舞台に、敗戦直後、未だ抵抗を続ける日本軍部隊に降伏説得に向う任務を命じられたまま消息を絶ち、ビルマの仏教僧となった水島上等兵(安井昌二)を主人公に、戦争の悲惨さを、戦地に残る者、去る(帰国する)者の対比から浮かび上がらせるとともに、日本語を覚え込まされたインコを介することによって、言葉にできない心の苦しみを表現した傑作。本作は第一部(61分)、第二部(83分)に分けて制作されたものを再編集した総集編で、第二部にはビルマロケ撮影分も含まれた貴重な作品ながら、市川崑監督の意向を組まないまま上映された曰く付きの作品。

by junn-chang, Feb.12, 2018
ラベル:市川崑
posted by junn-chang at 00:36| Comment(0) | 市川崑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月11日

こころ(市川崑)

こころ(市川崑)
夏目漱石のこころ(新潮文庫連動DVD)夏目漱石のこころ(新潮文庫連動DVD)
夏目漱石

日活 2006-11-10
売り上げランキング : 38368

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1955年, Japan/日活, 87min
監 督:市川崑
脚 本:猪俣勝人、長谷部慶次
撮 影:伊藤武夫
音 楽:芥川也寸志
出 演:森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、田村秋子、鶴丸睦彦、北林谷栄、下元勉

★市川崑監督、森雅之、新珠三千代主演のドラマ。夏目漱石の小説を原作とし、そこに描かれた明治の終焉、明治的精神を主人公の先生(森雅之)による人生の回想と独白となった遺書をもって綴った作品。他者のエゴイズムによって人間不信に陥っていた「先生」が下宿先の娘(新珠三千代)を巡って恋を争っていた友人の学生梶(三橋達也)を自殺に追い込んでしまったことにより自らの倫理観に苦悩、やがて自らも死を選ぶ過程を森雅之が演じきり、全編に重い陰鬱なトーンを帯びながらも原作の意思を見事に映像化、ラストシーン、私=日置(安井昌二)が喪中の玄関先で土下座する相手は一体誰なのか、の問いを放ったまま入り口の戸は閉められ、戸の隙き間から微かに見える、奥さんに抱き起こされる私、の構図が深い余韻を残した一作。

by junn-chang, Feb.11, 2018
ラベル:市川崑
posted by junn-chang at 00:10| Comment(0) | 市川崑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月10日

女性に関する十二章(市川崑)

女性に関する十二章(市川崑)

1954年, Japan/東宝, 87min
監 督:市川崑
脚 本:和田夏十
撮 影:三浦光雄
音 楽:黛敏郎
出 演:津島恵子、小泉博、上原謙、有馬稲子、久慈あさみ、太刀川寛、徳川夢声、三好栄子、坪内美子、伊藤整

★市川崑監督、津島恵子、小泉博主演の恋愛ドラマ。伊藤整のエッセイの映画化で、大学時代から付き合ってきた二人、バレリーナ飛鳥ミナ子(津島恵子)と銀行員呉小平太(小泉博)の結婚に踏み切れないそれぞれの心情を、さまざまな恋愛観、結婚観、仕事観を交差させながらシニカルなコメディタッチで描いた作品。別の女性との結婚式の当日にやはりミナ子を選ぶ小平太、海岸で心中を試みる二人を捉えた映像の美しさとともに、市川崑特有の先鋭的な構図が随所に散りばめられた一作。

by junn-chang, Feb.10, 2018
ラベル:市川崑
posted by junn-chang at 09:23| Comment(0) | 市川崑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする